同居人
第6章 紅く、濁る糸
エレベーターが
開くと手を離した。
「なーちゃん、荷物かして」
優が私の荷物を
持ってくれた。
「優はバッグいらないの?」
「うん。財布と携帯あれば良いから」
「あったら便利なのに」
「ポケットの中にそれだけ入れてれば何にも困んないよ」
ふーん…
まあ、そういう人も
いるか。
「蒼、って店美味しいの?」
「うん。結構気軽に入れるから良いよ。…ほら、もう見えてきた」
私は“蒼”を指差した。
「あ、本当だ」
優も気付いたらしい。
店内に入ると
もう相澤さんが
座っていた。
「あ、先輩~真央さ~ん!!」
私たちは呼ばれた
方向に歩いた。
「早いね」
「ヘヘヘ…まあ、企画したの私なんで早く来ました」