
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第13章 十六夜の悲劇
だが、職を解かれ、漢陽を追放されてからの与徹は違った。自らの罪を反省するどころか、かねてからの寵童趣味が高じてしまった。美しい子どもがいると知るや、攫うようにして連れてこさせ、屋敷に囲った。官吏時代に真面目に勤めたお陰で、財産はしこたま貯めていたから、贅沢をする金はあったし、彼の妻の実父は兵曹(ヒヨンジヨ)判(パン)書(ソ)であったから、金銭的援助には事欠かない。
今、我が身に天誅の剣を振り降ろそうとするのは、紛れもなく漢陽でよくその名を耳にした〝光王〟だ。
白刃が振り下ろされた一瞬、部屋の床に男の身体が血飛沫を上げながら転がった。肩から背中にかけて袈裟掛けに斬られたその様は、相当の遣い手によるものだとひとめで判る。
鮮血に染まった与徹の肥え太った身体を、男は無表情に見下ろす。
血濡れた刃をひと振りすると鞘に収め、全身黒ずくめの男は再び闇に溶け込むかのように消えた。
今、我が身に天誅の剣を振り降ろそうとするのは、紛れもなく漢陽でよくその名を耳にした〝光王〟だ。
白刃が振り下ろされた一瞬、部屋の床に男の身体が血飛沫を上げながら転がった。肩から背中にかけて袈裟掛けに斬られたその様は、相当の遣い手によるものだとひとめで判る。
鮮血に染まった与徹の肥え太った身体を、男は無表情に見下ろす。
血濡れた刃をひと振りすると鞘に収め、全身黒ずくめの男は再び闇に溶け込むかのように消えた。
