月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第15章 不幸な母
「ご、ごめんなさい」
先に我に返ったのも声を発したのも香花だった。
「あ、い、いや」
光王もまた漸く自分を取り戻したようだったが、それでもまだ心ここにあらずといった雰囲気が彼を取り巻いている。
「俺の方こそ済まなかったな。女に力づくで迫るなんて、男としては最も軽蔑する部類だと普段から思ってるのに、俺としたことが最低のことをしちまった」
光王がどこか上の空で呟き、何かの想いを振り切るかのように緩く首を振る。
「勘弁してくれ」
光王は意外なほどあっさりと香花から離れ、一定の距離を置いて座った。
しばらくは二人とも、黙ってチゲを食べた。
香花は料理の味など判らないほど取り乱していたし、光王もまた黙々と箸を動かしているだけだ。
その夜はとうとう気まずいままで、光王は夕飯を終えると早々と床に潜り込んで香花にに背を向けた。
先に我に返ったのも声を発したのも香花だった。
「あ、い、いや」
光王もまた漸く自分を取り戻したようだったが、それでもまだ心ここにあらずといった雰囲気が彼を取り巻いている。
「俺の方こそ済まなかったな。女に力づくで迫るなんて、男としては最も軽蔑する部類だと普段から思ってるのに、俺としたことが最低のことをしちまった」
光王がどこか上の空で呟き、何かの想いを振り切るかのように緩く首を振る。
「勘弁してくれ」
光王は意外なほどあっさりと香花から離れ、一定の距離を置いて座った。
しばらくは二人とも、黙ってチゲを食べた。
香花は料理の味など判らないほど取り乱していたし、光王もまた黙々と箸を動かしているだけだ。
その夜はとうとう気まずいままで、光王は夕飯を終えると早々と床に潜り込んで香花にに背を向けた。