月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第15章 不幸な母
「つまり、それは酒場の女将だけではなく、他の村人たちにも光王が香花を妹としてではなく、女として見ているという風に映っているということだな」
「はっきりとは申しませんでしたが、皆、薄々、二人が兄妹ではないと察しているようです」
元々、貧しい村では互いに助け合う気持ちが大きい。ゆえに、明らかに事情があって都から流れてきた二人の関係を殊更詮索するような無粋な人間はソロン村には一人もいなかった。だから、おおよその事情は勘づいていても、敢えて口にしないのだ。
「両親もおらぬ、天涯孤独の娘。しかも、理由(わけ)ありで都から流れてきたらしいとな。それは好都合だ。あの娘を我が家門の養女に迎えたとて、支障はあるまい」
「奥さま!」
ソンジュが悲鳴のような声を上げると、理蓮がうっすらと微笑を浮かべた。むろん、その中に幾ばくかの非難が込められていたのは言うまでもない。
「はっきりとは申しませんでしたが、皆、薄々、二人が兄妹ではないと察しているようです」
元々、貧しい村では互いに助け合う気持ちが大きい。ゆえに、明らかに事情があって都から流れてきた二人の関係を殊更詮索するような無粋な人間はソロン村には一人もいなかった。だから、おおよその事情は勘づいていても、敢えて口にしないのだ。
「両親もおらぬ、天涯孤独の娘。しかも、理由(わけ)ありで都から流れてきたらしいとな。それは好都合だ。あの娘を我が家門の養女に迎えたとて、支障はあるまい」
「奥さま!」
ソンジュが悲鳴のような声を上げると、理蓮がうっすらと微笑を浮かべた。むろん、その中に幾ばくかの非難が込められていたのは言うまでもない。