月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第17章 夢の終わり
こういった酒場の女将とは気心を通じておけば、いざというときに役立つものなのだ。
砂を隠すには砂浜に隠せ。昔からの諺にもあるように、何者かに追われた時、逃げ込む場所を作って おくことは必要不可欠だ。意外に、こういう店に実を潜めると、役人を初め追っ手には見つかりにくいのだ。
「判った、判ったよ。また、今度、妹も連れてきて、女将に挨拶させるから」
光王が頷くと、女将がつつと身を近づける。
咄嗟に、光王は身を退いてしまったが、眼前に迫った女将の顔が引きつっているのに気付く。
「な、何だよ?」
だが、光王の心配は今回に限り、大外れとなった。女将の表情が冴えなかった原因は直に判った。
「もう十日以上は前になるかね、何だか思いきり妖しい奴らがうちの店に来た」
声を潜めているのは、他の客をはばかるからだ。
「何だって、妖しい奴らだって?」
光王の眼が剣呑な輝きを帯びる。
砂を隠すには砂浜に隠せ。昔からの諺にもあるように、何者かに追われた時、逃げ込む場所を作って おくことは必要不可欠だ。意外に、こういう店に実を潜めると、役人を初め追っ手には見つかりにくいのだ。
「判った、判ったよ。また、今度、妹も連れてきて、女将に挨拶させるから」
光王が頷くと、女将がつつと身を近づける。
咄嗟に、光王は身を退いてしまったが、眼前に迫った女将の顔が引きつっているのに気付く。
「な、何だよ?」
だが、光王の心配は今回に限り、大外れとなった。女将の表情が冴えなかった原因は直に判った。
「もう十日以上は前になるかね、何だか思いきり妖しい奴らがうちの店に来た」
声を潜めているのは、他の客をはばかるからだ。
「何だって、妖しい奴らだって?」
光王の眼が剣呑な輝きを帯びる。
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