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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第17章 夢の終わり

「もう、光王ったら」
 香花が光王を追いかけ回し、追いかけっこをする二人と競争するように庭に放した二羽の鶏が騒がしい啼き声を上げて走り回る。
 首都漢陽から離れたこの辺境の村にも静かな秋が―いや、二人にとっては騒がしい秋が訪れていた。
 遠くに見える山々も既にすっかり色づいている。秋の色に彩られた狭い庭に、香花の歓声と〝痛ってえ、本当に殴りやがったな〟と光王の悲鳴が響き渡った。

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