月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第18章 第5話【半月】・疑惑
「まさか実の兄貴が妹にくっついて嫁ぎ先まで行くわけにもゆかないだろうし、お前さんも苦労だねえ。可愛い妹をいつまでも手許に引き止めておきたい気持ちは判るけれど、本当に妹が可愛いのなら、思い切って手放してやらないと」
香花はすっかり上気した頬を気にしつつ、早口で内儀に言う。
「別に兄さんが嫁に行くなと言ってるわけじゃありませんし―」
光王のことを言われると、どうにも鼓動が速くなり、顔が紅くなってしまう香花である。そんな彼女の居たたまれないといった様子をを見た内儀がまたも余計なお節介を焼く。
「ねえ」
はい、何でしょうと、黒い瞳を向けた香花に、内儀は声を低めた。
「あの話は本当なの?」
全く要領を得ない話に、香花はただ戸惑うばかりだ。
「お前さんと兄さんが実の兄妹(きようだい)ではないって、あの話」
香花はすっかり上気した頬を気にしつつ、早口で内儀に言う。
「別に兄さんが嫁に行くなと言ってるわけじゃありませんし―」
光王のことを言われると、どうにも鼓動が速くなり、顔が紅くなってしまう香花である。そんな彼女の居たたまれないといった様子をを見た内儀がまたも余計なお節介を焼く。
「ねえ」
はい、何でしょうと、黒い瞳を向けた香花に、内儀は声を低めた。
「あの話は本当なの?」
全く要領を得ない話に、香花はただ戸惑うばかりだ。
「お前さんと兄さんが実の兄妹(きようだい)ではないって、あの話」