
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第18章 第5話【半月】・疑惑
その想像は考えるだに、怖ろしいことだ。現実には、香花は町を歩けば、若い男なら誰もが振り向き見つめずにはいられないような美少女なのだけれど、当の香花自身は全く己れの美貌を意識していない。
光王と知り合ったばかりの二年前はまだ固い蕾といった風情だったのが、今では、まさに開こうとする大輪の花といった初々しい美しさに溢れている。
香花は、自分の冴え冴えとした黒い瞳がどれほどの数の男を虜にするか判っていない。だからこそ、光王が香花をできるなら一日も早く自分だけのものにして、家の奥に閉じ込めて誰の眼にも触れさせたくない―いささか残酷にも思えるほどの独占欲を抱いているのも知らないのだ。
つまり、香花のこの不安は全くの杞憂にすぎない。だが、本人にしてみれば、光王の態度から推し量ることしかできないのだから、悩んでしまうのも当然ではあった。
光王と知り合ったばかりの二年前はまだ固い蕾といった風情だったのが、今では、まさに開こうとする大輪の花といった初々しい美しさに溢れている。
香花は、自分の冴え冴えとした黒い瞳がどれほどの数の男を虜にするか判っていない。だからこそ、光王が香花をできるなら一日も早く自分だけのものにして、家の奥に閉じ込めて誰の眼にも触れさせたくない―いささか残酷にも思えるほどの独占欲を抱いているのも知らないのだ。
つまり、香花のこの不安は全くの杞憂にすぎない。だが、本人にしてみれば、光王の態度から推し量ることしかできないのだから、悩んでしまうのも当然ではあった。
