月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第18章 第5話【半月】・疑惑
香花は言葉につまった。
「私は何も、そんなことを言ってるんじゃ―」
ふいに光王が顔を背けた。
「俺は小さなガキじゃない。いちいち、お前にどこで何をしてたか報告しなきゃならない義務なんてない」
その言葉は、香花の神経を逆撫でするには十分だった。
「何で、そんな意地悪なことを言うのよ、光王。私は、あなたを小さな子どもだと思ってなんかいないわ」
「じゃあ、俺を束縛するのは止めてくれ」
さらりと言われ、香花は眼を見開いた。
「―束縛?」
「俺の帰りが少々遅れたくらいで、騒ぎ立てるのは止めて欲しい」
「私は何も、そんなつもりで―。ただ、光王の身に何かあったんじゃないかと心配して言っただけなのに」
香花の眼に涙が滲んだ。今夜の光王は変だ。町で何か嫌なことがあったのかもしれない。いつもなら、こんな些細なことで、香花に感情を露わにして、ぶつけてくることなどない。
「私は何も、そんなことを言ってるんじゃ―」
ふいに光王が顔を背けた。
「俺は小さなガキじゃない。いちいち、お前にどこで何をしてたか報告しなきゃならない義務なんてない」
その言葉は、香花の神経を逆撫でするには十分だった。
「何で、そんな意地悪なことを言うのよ、光王。私は、あなたを小さな子どもだと思ってなんかいないわ」
「じゃあ、俺を束縛するのは止めてくれ」
さらりと言われ、香花は眼を見開いた。
「―束縛?」
「俺の帰りが少々遅れたくらいで、騒ぎ立てるのは止めて欲しい」
「私は何も、そんなつもりで―。ただ、光王の身に何かあったんじゃないかと心配して言っただけなのに」
香花の眼に涙が滲んだ。今夜の光王は変だ。町で何か嫌なことがあったのかもしれない。いつもなら、こんな些細なことで、香花に感情を露わにして、ぶつけてくることなどない。