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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第18章 第5話【半月】・疑惑

 香花は、光王が出ていったばかりの扉を凝視しながら、がっくりと肩を落とす。先刻の光王の態度を思い出すにつけ、やるせなくなってしまう。香花から逃げ出すようにも、また、その両班の話に触れるのを避けたがっているようにも見えた。
 マンアンというのは隣家の朴家の主人である。朴家は妻のユンウォンと去年、生まれたばかりの息子オンジュンの三人家族だ。香花もマンアン夫妻とは顔見知りである。光王は子ども好きで、オンジュンを自分の息子のように可愛がっている。
 ついこの間、生まれたばかりだと思っていたオンジュンも一歳半を迎え、よく歩くようになった。そのため、危なっかしくて眼が離せないのだとユンウォンが嬉しげに話していた。
―互いに慕い合ってるのなら、一日も早くきっちりとけじめをつけて晴れて夫婦になれば良いんじゃないかと思ってさ。
 唐突に、昼間のグムチョンの科白が耳奥で甦った。

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