
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第19章 訪問者
その日、香花は隣家の朴家に卵を届けにいった。朴家にオンジュンが生まれてからというもの、香花は定期的に産みたての卵を朴家に届けにいっている。初めは無償で分けていたのだが、マンアンがいつまでも親切に甘えてはいられないと言い張り、わずかながら代金を貰うようになっていた。
その途中、香花は道端で立ち止まった。マンアンの住まいは同じ村内とはいっても、もう殆ど隣村に近い。ゆえに、かなりの道程を歩くことになるわけで、今、香花が歩いているのも荷馬車一台がやっと通り抜けられるほどの広さの砂利道で、人気は全くない。
道の両脇には石榴の樹が数本並んで植わっており、その前後には季節柄、秋桜の花が群れ咲いている。石榴は今が盛りで、鈴なりについている実ははや熟れ過ぎた感がある。秋桜は薄紅色のものもあれば、清楚な白も混じっている。
その途中、香花は道端で立ち止まった。マンアンの住まいは同じ村内とはいっても、もう殆ど隣村に近い。ゆえに、かなりの道程を歩くことになるわけで、今、香花が歩いているのも荷馬車一台がやっと通り抜けられるほどの広さの砂利道で、人気は全くない。
道の両脇には石榴の樹が数本並んで植わっており、その前後には季節柄、秋桜の花が群れ咲いている。石榴は今が盛りで、鈴なりについている実ははや熟れ過ぎた感がある。秋桜は薄紅色のものもあれば、清楚な白も混じっている。
