月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第19章 訪問者
父親が穏やかな笑みを浮かべ、香花を見つめた。
「どうか光王を頼む。あの子は幼い頃に母を亡くし、相当の苦労をしたと聞く。その間、どこで何をしていたのかまでは判らなかったが、身寄りのない幼子が苛酷な世間で生きてゆくのがいかほど大変かくらいは、私にも判る。私などが思いも及ばないような辛い想いを数え切れぬほどしただろう。家族もなく、孤独だったあの子を、これからは、そなたが傍に居て支えてやって欲しい」
父親は香花に深々と頭を下げた。
「どうか光王を頼む。あの子は幼い頃に母を亡くし、相当の苦労をしたと聞く。その間、どこで何をしていたのかまでは判らなかったが、身寄りのない幼子が苛酷な世間で生きてゆくのがいかほど大変かくらいは、私にも判る。私などが思いも及ばないような辛い想いを数え切れぬほどしただろう。家族もなく、孤独だったあの子を、これからは、そなたが傍に居て支えてやって欲しい」
父親は香花に深々と頭を下げた。