月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第20章 父と子
「そんな生活を送ってきた俺には、何をどうしても、あの男を親父と呼ぶ気にはなれないね」
「だけど!」
香花は真正面から光王の顔を見つめた。
「あなたのお父さんよ。あなたの身体には異様人のお婆さんの血だけじゃなくて、朝鮮人のお父さんの血も色濃く流れてるんだわ」
だが、光王は暗い色を滲ませた瞳をかすかに眇めただけだった。
「お前は所詮、他人事だから、そんな綺麗事が口にできるんだよ、香花。俺や俺のお袋を棄てた男だぜ? あいつは、お袋に言いやがったんだ。〝本当に俺の子なのか? 身持ちの悪い妓生の孕んだ子など、本当に自分の子かどうか判らない〟ってな」
「それでも、あなたのお父さんよ」
「だけど!」
香花は真正面から光王の顔を見つめた。
「あなたのお父さんよ。あなたの身体には異様人のお婆さんの血だけじゃなくて、朝鮮人のお父さんの血も色濃く流れてるんだわ」
だが、光王は暗い色を滲ませた瞳をかすかに眇めただけだった。
「お前は所詮、他人事だから、そんな綺麗事が口にできるんだよ、香花。俺や俺のお袋を棄てた男だぜ? あいつは、お袋に言いやがったんだ。〝本当に俺の子なのか? 身持ちの悪い妓生の孕んだ子など、本当に自分の子かどうか判らない〟ってな」
「それでも、あなたのお父さんよ」