月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第20章 父と子
と、鋭い一喝が飛んできた。
「未練がましいと自分で思うのなら、とっとと帰れよ」
そのひと言に、眼前の男の双眸が哀しげに揺れた。
もう、見ていられなかった。
「光王!」
香花は固い声で遮った。自分でもびっくりするくらいの大きな声になった。
「ね、お願い。もう一度だけ、話し合って」
いつしか光王が香花の背後に立っていた。表の人声を聞きつけて、出てきたのだろう。
縋るようなまなざしを向けた香花には眼もくれず、彼は父親だけを見つめていた。
香花は懸命に言葉を重ねる。
「あなたは一方的にお父さんばかり責めてるけど、よくよく考えてみれば、あなたって、自分のことしか考えられない子どもみたいね」
「何だと、俺が子どもだって?」
聞き捨てならない科白を聞いたとでもいいたげに、光王が香花を睨(ね)めつけた。
「未練がましいと自分で思うのなら、とっとと帰れよ」
そのひと言に、眼前の男の双眸が哀しげに揺れた。
もう、見ていられなかった。
「光王!」
香花は固い声で遮った。自分でもびっくりするくらいの大きな声になった。
「ね、お願い。もう一度だけ、話し合って」
いつしか光王が香花の背後に立っていた。表の人声を聞きつけて、出てきたのだろう。
縋るようなまなざしを向けた香花には眼もくれず、彼は父親だけを見つめていた。
香花は懸命に言葉を重ねる。
「あなたは一方的にお父さんばかり責めてるけど、よくよく考えてみれば、あなたって、自分のことしか考えられない子どもみたいね」
「何だと、俺が子どもだって?」
聞き捨てならない科白を聞いたとでもいいたげに、光王が香花を睨(ね)めつけた。