月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第21章 月下にひらく花
香花も負けずにやり返すと、光王がいっそう口許を耳に寄せた。
「憎らしい人だ。憶えておけよ、晴れて婚礼を挙げたんだ。今夜からは生意気な口を叩いたら、寝床でたっぷりとお仕置きをしてやるからな」
口とは裏腹に、いっそう優しげな眼で見つめられ、香花は居たたまれなくなった。
見も世もない心地でうつむく香花の紅くなった頬を光王が人さし指でつつく。
それを見咎めた村人の一人が早くも酒に酔った赤ら顔ではやしたてた。
「光王、やっと恋女房をモノにできて、逸る気持ちも判らねえわけじゃないが、人前であんまりいちゃつくなよ?」
「そうだぜ、そうだぜ。何が妹だよ、妹と結婚する兄貴なんざ、この朝鮮中探しても、どこにもいやしねえ。俺たちをうまいこと騙しやがって」
その隣に胡座をかいた男がまたそれに加勢し、回りの連中もやんややんやと騒ぎ立てる。
「憎らしい人だ。憶えておけよ、晴れて婚礼を挙げたんだ。今夜からは生意気な口を叩いたら、寝床でたっぷりとお仕置きをしてやるからな」
口とは裏腹に、いっそう優しげな眼で見つめられ、香花は居たたまれなくなった。
見も世もない心地でうつむく香花の紅くなった頬を光王が人さし指でつつく。
それを見咎めた村人の一人が早くも酒に酔った赤ら顔ではやしたてた。
「光王、やっと恋女房をモノにできて、逸る気持ちも判らねえわけじゃないが、人前であんまりいちゃつくなよ?」
「そうだぜ、そうだぜ。何が妹だよ、妹と結婚する兄貴なんざ、この朝鮮中探しても、どこにもいやしねえ。俺たちをうまいこと騙しやがって」
その隣に胡座をかいた男がまたそれに加勢し、回りの連中もやんややんやと騒ぎ立てる。