月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第21章 月下にひらく花
思わず頬を染めた香花の耳許で、光王が更に囁いた。
「騒馬にも衣裳ってところだな」
「まっ、何ですって」
思わず手を振り上げそうになった。
「おいおい、結婚したばかりの新妻が婚礼の席で良人をぶつなんて話、聞いたことがないぞ?」
そのひと言に、香花は狼狽え、更に紅くなり、上げかけた手を降ろす。
「相変わらず失礼ね」
傍らの良人を軽く睨むと、光王はそれが例の癖で、小さく肩を竦めた。
「お前だって、俺が求婚したときに笑っただろう。死ぬほど恥ずかしかったんだぞ。今まで、どの女にもあんな科白を口にしたこともなかったし、一世一代の告白だったのに」
「お生憎さま。どうせ、今までにも付き合った女のひと皆に、同じ科白を囁いてたんでしょ」
「騒馬にも衣裳ってところだな」
「まっ、何ですって」
思わず手を振り上げそうになった。
「おいおい、結婚したばかりの新妻が婚礼の席で良人をぶつなんて話、聞いたことがないぞ?」
そのひと言に、香花は狼狽え、更に紅くなり、上げかけた手を降ろす。
「相変わらず失礼ね」
傍らの良人を軽く睨むと、光王はそれが例の癖で、小さく肩を竦めた。
「お前だって、俺が求婚したときに笑っただろう。死ぬほど恥ずかしかったんだぞ。今まで、どの女にもあんな科白を口にしたこともなかったし、一世一代の告白だったのに」
「お生憎さま。どうせ、今までにも付き合った女のひと皆に、同じ科白を囁いてたんでしょ」