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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第22章 第6話【漢陽(ハニャン)の春】・再会


再会

 〝おお〟とも〝まあ〟ともつかないひと声を洩らすなり言葉を失ってしまった叔母を前に、香花(ヒヤンファ)もまた、返すべき声もないまま見つめるしかなかった。叔母は香花にそっくりのナツメ形のきれいな瞳を見る間に潤ませ、幾度も頷きながら両手を差しのべる。
 香花が幾分躊躇いを見せると、叔母の美しい面に哀しげな微笑が浮かんだ。
「香花、折角、二年ぶりに逢ったというのに、どうして昔のようにすぐ私の腕に飛び込んできてくれないの?」
 そのいかにも残念そうな言葉に、香花は小さく首を振るなり、うつむく。
「でも、私は到底、叔母(スンモ)上に合わせる顔などありません。この二年の間、連絡もせず、ずっとご無沙汰ばかりしてたんですもの」

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