月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第22章 第6話【漢陽(ハニャン)の春】・再会
「何を言うのですか、他人行儀なことを言うのもたいがいになさい。あなたに都落ちを勧めたのはこの私ではありませんか。国王(チユサン)殿下(チヨナー)のお怒りが解けるまで、身を潜めるように言ったのは他ならぬこの私です。それなのに、何故、私があなたを咎める必要があるの?」
香花は思いやりに満ちた叔母の科白に、思わず熱いものが込み上げるのを憶えた。
二年前のあの日―この叔母と涙ながらに抱擁を交わし別れを惜しんだことが遠い昔の出来事のように思い出される。
当時、香花は初恋の人崔(チェ)明善(ミヨンソン)が国王への謀反で捕縛されるに及び、累が及ぶのを避けるため、崔氏の屋敷をひそかに逃れたのである。叔母香(ヒヤン)丹(ダン)とはその直前、こっそりと屋敷を訪ねてきた際に逢ったのが別れとなった。
叔母の言葉どおり、追捕の手を逃れるため、都落ちを勧めたのは、この叔母自身である。それは、ひとえに姪の香花の身の安全を思いやってのことだと香花も承知している。
香花は思いやりに満ちた叔母の科白に、思わず熱いものが込み上げるのを憶えた。
二年前のあの日―この叔母と涙ながらに抱擁を交わし別れを惜しんだことが遠い昔の出来事のように思い出される。
当時、香花は初恋の人崔(チェ)明善(ミヨンソン)が国王への謀反で捕縛されるに及び、累が及ぶのを避けるため、崔氏の屋敷をひそかに逃れたのである。叔母香(ヒヤン)丹(ダン)とはその直前、こっそりと屋敷を訪ねてきた際に逢ったのが別れとなった。
叔母の言葉どおり、追捕の手を逃れるため、都落ちを勧めたのは、この叔母自身である。それは、ひとえに姪の香花の身の安全を思いやってのことだと香花も承知している。