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　良人の光王が成家の跡取りとして迎えられたのは、夫人の生んだ嫡男が夭折したからだ。この光王にとっては異母弟になる嫡男が死ななければ、自分たちはまだ、都からはるか離れた長閑な村で慎ましくも幸せに暮らしていたはずだった。
　夫人の不幸と光王の幸運が背中合わせになっている以上、光王、いや、光王と香花が夫人にとって、けして歓迎すべからざる存在だとは予め覚悟はしていたはずだ。しかし、彼女の光王夫婦に向ける憎しみは想像を絶するほど凄まじく根深いものだった。