月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第22章 第6話【漢陽(ハニャン)の春】・再会
甲走った声が聞こえ、香花は唇をきつく噛みしめた。言われるままに、一旦立ち上がり、その場に座って拝礼を行った。
屈辱と口惜しさが眼尻に涙を押し上げる。あまりにもきつく噛みしめたため、口中が切れたのか鉄錆びた味がひろがった。
「彩景はこれ以降、我が屋敷で暮らすこととあいなった。まだ婚礼は挙げてはおらぬが、実質的には光王どのの正室も同然の方だ。そなたは立場をわきまえて、礼を尽くすように」
香花は、あまりの言われ様に思わず涙ぐんで妙鈴を見た。睨むつもりは全くなかったのだが、妙鈴にはその眼が気に入らなかったらしい。
「その反抗的な眼は何だ。これだから、身分の賤しい者は困る。両班家に生まれた者ならば、三つの幼児でも心得ることが大人になっても判らぬ。物の道理など欠片(かけら)ほども持たない、愚かな者どもよ」
屈辱と口惜しさが眼尻に涙を押し上げる。あまりにもきつく噛みしめたため、口中が切れたのか鉄錆びた味がひろがった。
「彩景はこれ以降、我が屋敷で暮らすこととあいなった。まだ婚礼は挙げてはおらぬが、実質的には光王どのの正室も同然の方だ。そなたは立場をわきまえて、礼を尽くすように」
香花は、あまりの言われ様に思わず涙ぐんで妙鈴を見た。睨むつもりは全くなかったのだが、妙鈴にはその眼が気に入らなかったらしい。
「その反抗的な眼は何だ。これだから、身分の賤しい者は困る。両班家に生まれた者ならば、三つの幼児でも心得ることが大人になっても判らぬ。物の道理など欠片(かけら)ほども持たない、愚かな者どもよ」