月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
「「わ、私」
香花は嫌々をするように首を振った。
そのあまりの取り乱し様に、真悦も感じるところがあったのか、真摯な声で問うてくる。
「香花、本来ならば、このような問いは良人である光王がするべきものであろうが―、もしや、そなたは懐妊しているのではないのか?」
刻々と重さを増してゆくような空気の中、香花は少しの逡巡を見せ、頷いた。
「そうか、やはり、そうか」
真悦の表情が見る間に緩んでゆくのが見て取れる。
「跡取り息子に跡取りができた、か。儂も来年の今頃はお祖父(じじ)さまだな」
初孫の誕生を知り、真悦は素直に歓んでいるようだ。こんなに嬉しげな舅の顔は初めて見た。良人の父である人がここまで手放しで懐妊を歓んでくれるのは香花も嬉しい。
香花は嫌々をするように首を振った。
そのあまりの取り乱し様に、真悦も感じるところがあったのか、真摯な声で問うてくる。
「香花、本来ならば、このような問いは良人である光王がするべきものであろうが―、もしや、そなたは懐妊しているのではないのか?」
刻々と重さを増してゆくような空気の中、香花は少しの逡巡を見せ、頷いた。
「そうか、やはり、そうか」
真悦の表情が見る間に緩んでゆくのが見て取れる。
「跡取り息子に跡取りができた、か。儂も来年の今頃はお祖父(じじ)さまだな」
初孫の誕生を知り、真悦は素直に歓んでいるようだ。こんなに嬉しげな舅の顔は初めて見た。良人の父である人がここまで手放しで懐妊を歓んでくれるのは香花も嬉しい。