月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
突如として光王が立ち上がった。
「あの糞婆ァ」
脚音も荒く部屋を飛び出してゆこうとするのに、香花は背後から叫んだ。
「止めて」
「何言ってるんだ。お前がそこまで泣くのは、どうせまた、あの婆ァのせいだろう? もう、俺は我慢ならねえ。あの気取り返った糞婆ァの胸倉掴んで、一発ぶん殴ってやらないことには気が済まねえよ」
光王が怒鳴る。
「馬鹿なことを言わないで。お義母上さまは、あなたにとっては義理とはいえ、義母君なのよ? 息子が母親を殴れるわけがないでしょう」
「あんな女、母親でも何でもねえ。香花、こんな屋敷、とっとと出てゆこうぜ。俺はもう限界だ。お袋にできなかった分まで父上に孝行したいと思っていたが、これ以上、あの女と同じ屋根の下になんざ、一刻たりともいたくはねえや」
「あの糞婆ァ」
脚音も荒く部屋を飛び出してゆこうとするのに、香花は背後から叫んだ。
「止めて」
「何言ってるんだ。お前がそこまで泣くのは、どうせまた、あの婆ァのせいだろう? もう、俺は我慢ならねえ。あの気取り返った糞婆ァの胸倉掴んで、一発ぶん殴ってやらないことには気が済まねえよ」
光王が怒鳴る。
「馬鹿なことを言わないで。お義母上さまは、あなたにとっては義理とはいえ、義母君なのよ? 息子が母親を殴れるわけがないでしょう」
「あんな女、母親でも何でもねえ。香花、こんな屋敷、とっとと出てゆこうぜ。俺はもう限界だ。お袋にできなかった分まで父上に孝行したいと思っていたが、これ以上、あの女と同じ屋根の下になんざ、一刻たりともいたくはねえや」