月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
いつもの軽妙なやりとりは、二人の間では毎度のことなのだ。なのに、泣き出してしまった香花に、光王はただならないものを感じたらしい。
「俺の言ったことが―原因じゃないよな」
光王は小首を傾げ、眼を眇めるようにして香花を見つめている。
「もしかして、食欲がないのも、そのせいなのか?」
それはとんだ誤解ではあるが、どうしても懐妊のことは話せなかった。成家の嫁として認められていないこの状況での懐妊―、それを素直に歓んで良いものかどうか判らない。
だから、せめて医者か産婆に診て貰って、本当に懐妊かどうか確かめてから、報告しようと考えている。―しかし、それが光王への報告を先延ばしにするための言い訳にすぎないことを、誰よりも香花自身が知っている。
香花は怖いのだ。もし、懐妊を告げられた光王が迷惑そうな顔をしたら―。自分はもう生きてはいられないだろう。
「俺の言ったことが―原因じゃないよな」
光王は小首を傾げ、眼を眇めるようにして香花を見つめている。
「もしかして、食欲がないのも、そのせいなのか?」
それはとんだ誤解ではあるが、どうしても懐妊のことは話せなかった。成家の嫁として認められていないこの状況での懐妊―、それを素直に歓んで良いものかどうか判らない。
だから、せめて医者か産婆に診て貰って、本当に懐妊かどうか確かめてから、報告しようと考えている。―しかし、それが光王への報告を先延ばしにするための言い訳にすぎないことを、誰よりも香花自身が知っている。
香花は怖いのだ。もし、懐妊を告げられた光王が迷惑そうな顔をしたら―。自分はもう生きてはいられないだろう。