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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第24章 交錯する想い

 香花はそのまま扉を開けて出てゆこうとする光王の背後まで追いかけていって、そっと両手でその背中を抱きしめた。
「ね。お願い。私のためを思うのなら、今度だけは無茶な真似はしないで、短気は止めて。一度だけ、私のお願いをきいて欲しいの」
 光王の背中にぴったりと顔を押しつけているため、どうしても、声がくぐもってしまう。

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