月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
「お前がこの屋敷に残ろうとするのは、どうせ俺のせいだろ。だが、言っておくけどな、俺は両班にはなりたくて―」
言いかけた光王の言葉に覆い被せるように、香花は叫んだ。
「好きな男(ひと)の幸せが私の幸せでもあるのよ、光王」
「俺は成家の当主におさまるなんて、少しも幸せだと思わないぞ」
「あなた、今、ここを出ていったら、きっと後悔するわ」
そう、必ず後になって後悔する。光王のことだから、栄耀栄華や名誉、立場といったものに未練を感じることはまずないだろう。が、折角、結び直せた父子の絆がここでまた断ち切られてしまったとしたら―、彼は先になって、絶対に後悔するはずだ。
光王は基本的に親思いの息子なのだ。
言いかけた光王の言葉に覆い被せるように、香花は叫んだ。
「好きな男(ひと)の幸せが私の幸せでもあるのよ、光王」
「俺は成家の当主におさまるなんて、少しも幸せだと思わないぞ」
「あなた、今、ここを出ていったら、きっと後悔するわ」
そう、必ず後になって後悔する。光王のことだから、栄耀栄華や名誉、立場といったものに未練を感じることはまずないだろう。が、折角、結び直せた父子の絆がここでまた断ち切られてしまったとしたら―、彼は先になって、絶対に後悔するはずだ。
光王は基本的に親思いの息子なのだ。