月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
その日の朝の食事は、光王にとっては最悪のものとなった。黙って出ていってしまった香花のことを考えれば、朝飯を食べる気にもなれず、その時間すら惜しい。
明け方、香花の不在を知り屋敷を飛び出したまでは良かったものの、結局、心当たりにはどこにも香花の姿はなかった。むろん、今日もこれから町に出て探すつもりだ。
しかし、父や義母の手前、心ここにあらずといった様をあからさまにするわけにもゆかず、ひたすら箸を動かし、口にした食べ物を無理に咀嚼し流し込むといった動作を機械的に繰り返した。
香花の失踪は、まだ屋敷内で知る者は数えるほどしかいない。父はともかく、義母に知られたら、どのような態度に出るか判ったものではない。恐らく、このときが好機とばかりに、香花をこの屋敷から追い出しにかかるだろう。
明け方、香花の不在を知り屋敷を飛び出したまでは良かったものの、結局、心当たりにはどこにも香花の姿はなかった。むろん、今日もこれから町に出て探すつもりだ。
しかし、父や義母の手前、心ここにあらずといった様をあからさまにするわけにもゆかず、ひたすら箸を動かし、口にした食べ物を無理に咀嚼し流し込むといった動作を機械的に繰り返した。
香花の失踪は、まだ屋敷内で知る者は数えるほどしかいない。父はともかく、義母に知られたら、どのような態度に出るか判ったものではない。恐らく、このときが好機とばかりに、香花をこの屋敷から追い出しにかかるだろう。