月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
香花らしいなと思いながらも、光王の心は逸った。このまま香花が見つからなければ、どうなるのか。彼らしくもなく、想像は悪い方へとばかり向かう。
味など少しも感じられない朝飯を漸く終え、庭に出てきた時、ふいに背後から呼び止められた。
「旦那(ソバ)さま(ニン)」
が、香花のことで頭がいっぱいの彼には届かない。
「旦那さま」
何度目かにやっと気付き、振り向くと、彩景が微笑んで立っていた。単なる八つ当たりかもしれないが、こんなときには、彩景の笑顔が妙に癇に障る。
大体、この女がのこのこと今頃になって現れたりしなければ、香花が屋敷を出ることはになかったはずだ。
味など少しも感じられない朝飯を漸く終え、庭に出てきた時、ふいに背後から呼び止められた。
「旦那(ソバ)さま(ニン)」
が、香花のことで頭がいっぱいの彼には届かない。
「旦那さま」
何度目かにやっと気付き、振り向くと、彩景が微笑んで立っていた。単なる八つ当たりかもしれないが、こんなときには、彩景の笑顔が妙に癇に障る。
大体、この女がのこのこと今頃になって現れたりしなければ、香花が屋敷を出ることはになかったはずだ。