月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
彩景の甲高い声が響き渡った。
「自分から出ていったような女を追いかけて、どうなさるというのです。あのような賤しい娘など、このままどうなろうと放っておけばよろしいではございませんか」
光王は立ち止まると、後ろを振り返りもせずに言った。
「以前から申し上げようと思っていたが、私は、あなたと結婚するつもりはない。あなたは香花を賤しい身分の者だと決めつけているが、本当に賤しいのは、鬼のような心を持つあなたの方ではないのか? 少なくとも香花なら、女中を拷問にかけるなどと言って脅迫したりはしない。私に何を期待しているのかは知らないが、あなたの方こそ、さっさと実家にお戻りなった方が良いのではありませんか」
その真冬の空気のように冷え切った声音に、彩景の美しい面がスウと蒼褪めてゆく。
光王は軽く頭を下げると、そのまま彩景を残して立ち去った。
「自分から出ていったような女を追いかけて、どうなさるというのです。あのような賤しい娘など、このままどうなろうと放っておけばよろしいではございませんか」
光王は立ち止まると、後ろを振り返りもせずに言った。
「以前から申し上げようと思っていたが、私は、あなたと結婚するつもりはない。あなたは香花を賤しい身分の者だと決めつけているが、本当に賤しいのは、鬼のような心を持つあなたの方ではないのか? 少なくとも香花なら、女中を拷問にかけるなどと言って脅迫したりはしない。私に何を期待しているのかは知らないが、あなたの方こそ、さっさと実家にお戻りなった方が良いのではありませんか」
その真冬の空気のように冷え切った声音に、彩景の美しい面がスウと蒼褪めてゆく。
光王は軽く頭を下げると、そのまま彩景を残して立ち去った。