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「あの娘、出ていったのでしょう？」
「どうしてそれを―」
　どうしてお前がそれを知っているのだ？
　そう言おうとして振り向いた光王に、彩景は艶やかな微笑を向けた。
「下っ端の女中など、幾らでも口を割らせる方法はありましてよ。酷い拷問にかけてやるとひと言脅せば、あっさりと真実を喋るものですわ」
　今朝の光王の様子が妙に落ち着かなかったこと、今朝に限って香花の姿が見えなかったことを不審に思った彩景は、香花付きの担当になっていた女中を問いつめたのだ。
「お前―」
　光王はそれだけで射殺せそうな烈しい視線で彩景を睨んだ。それでも、こんな女を相手にしている時間が勿体ないと再び踵を返し駆けたその時。