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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第25章 岐路(みち)

   岐路(みち)

 香花が自分に別れも告げずに出ていったと知り、光王が愕然としていた、その数時間後。
 香花は町外れを覚束ない脚取りで歩いていた。成家の屋敷を出た後、香花は真っすぐに産婆のところに赴いた。むろん両班の奥方が足を運ぶような場所ではなく、町の女たちを相手にする産婆である。
 通りがかる人に訊ねながら歩いていったら、その住まいはすぐに見つかった。いかにも怪しげな一軒家は、屋根が傾き、到底、人の住み処とは信じがたいようなボロ屋ではあったが、口づてによると、腕は確かだという。
 そう、その産婆は、子を無事に生ませるための産婆ではなく、堕胎専門だったのである。

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