月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第25章 岐路(みち)
「何だい、とんだ見かけ倒しだ。外見はどこから見ても、色香も滴る美貌なのに、肝心の中身は二年前と同じ、お子さまかえ?」
女将は笑いを含んだ声音で明るく言うと、顎をしゃくった。
「ま、こんなところで立ち話も何だ、お入りよ」
でも―と、逡巡する香花に、女将は片眼を瞑った。
「光王が連れてきた客は、皆、あたしの客でもある。それに、一度、うちの酒場に来た客は、二度目に来たら、たとえどんなヤツでも拒まないことにしてるのさ」
この店は、町のどこにでも見かけるような酒場だ。外に幾つかの卓を置き、大抵の客はそこで飲食することになる。こういう類の酒場は酒だけでなく飯も出すし、言わば大衆食堂の意味合いも兼ねている。
女将は笑いを含んだ声音で明るく言うと、顎をしゃくった。
「ま、こんなところで立ち話も何だ、お入りよ」
でも―と、逡巡する香花に、女将は片眼を瞑った。
「光王が連れてきた客は、皆、あたしの客でもある。それに、一度、うちの酒場に来た客は、二度目に来たら、たとえどんなヤツでも拒まないことにしてるのさ」
この店は、町のどこにでも見かけるような酒場だ。外に幾つかの卓を置き、大抵の客はそこで飲食することになる。こういう類の酒場は酒だけでなく飯も出すし、言わば大衆食堂の意味合いも兼ねている。