
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第26章 都の春
束の間、遠い眼になった峻烈が真悦に視線を向ける。
「儂の妻と明善の母が姉妹の関係で、私はあれを倅のように思っていたのですよ。明善の二人の遺児たちは目下のところ、我が家で面倒を見ておりますでな」
真悦は首を傾げた。我ながら気の長い方だと普段から思っているが、流石に忍耐力にも限界を自覚していた。
この老人の突然の来訪の意味が全く判らないのだ。
「失礼ですが、先生のおっしゃることが、私にはよく見えてこないのです。金氏と崔氏両家のお話をなさいましたが、そのお話がどこでどう繋がっているのでしょう?」
峻烈は訳知り顔で幾度も頷いた。
「そのようにお思いになるのは当然ですな。実は、最初にもお話したように、儂がこちらにお伺いしたのは、さる婦人から頼まれてのこと」
「儂の妻と明善の母が姉妹の関係で、私はあれを倅のように思っていたのですよ。明善の二人の遺児たちは目下のところ、我が家で面倒を見ておりますでな」
真悦は首を傾げた。我ながら気の長い方だと普段から思っているが、流石に忍耐力にも限界を自覚していた。
この老人の突然の来訪の意味が全く判らないのだ。
「失礼ですが、先生のおっしゃることが、私にはよく見えてこないのです。金氏と崔氏両家のお話をなさいましたが、そのお話がどこでどう繋がっているのでしょう?」
峻烈は訳知り顔で幾度も頷いた。
「そのようにお思いになるのは当然ですな。実は、最初にもお話したように、儂がこちらにお伺いしたのは、さる婦人から頼まれてのこと」
