
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第26章 都の春
「ありがとうございます!!」
嬉しさのあまり、香花はつい叫んでしまった。
「急に大きな声を出すでない。私だけでなく、腹の子も愕く。胎教にも良くないではないか」
「いつも光王―いえ、旦那さまにも耳許で急に大声を出さないようにと窘められるのです。でも、これが癖のようで、なかなか直らなくて困っています」
香花がありのままを話すと、妙鈴の眼が意外そうに見開かれた。
「そなたは、面白きおなごだな」
「そう―でしょうか? 旦那さまは私のことをいつも〝騒馬〟とお呼びになりますけど」
「騒馬? それは一体、どのような意味なのだ?」
興味を引かれた様子で妙鈴が訊くのに、香花は生真面目に応えた。
「騒がしい馬です」
嬉しさのあまり、香花はつい叫んでしまった。
「急に大きな声を出すでない。私だけでなく、腹の子も愕く。胎教にも良くないではないか」
「いつも光王―いえ、旦那さまにも耳許で急に大声を出さないようにと窘められるのです。でも、これが癖のようで、なかなか直らなくて困っています」
香花がありのままを話すと、妙鈴の眼が意外そうに見開かれた。
「そなたは、面白きおなごだな」
「そう―でしょうか? 旦那さまは私のことをいつも〝騒馬〟とお呼びになりますけど」
「騒馬? それは一体、どのような意味なのだ?」
興味を引かれた様子で妙鈴が訊くのに、香花は生真面目に応えた。
「騒がしい馬です」
