
隣の椅子
第1章 1
彼は窓を開けていたせいで掲示板から散らばって落ちた紙を、必死に拾っていた。
またひゅうと風が吹くと、また紙がバラバラと落ちる。
次々に落ちていく紙を拾う彼は何となく滑稽で可愛くて、見ながら私はクスッと笑ってしまった。
急いで近寄ると、彼が掻き集めた紙を、彼の手から抜き取った。
「貼るよ、場所覚えてるから」
と言うと掲示板に紙を貼っていく。毎日見ている紙の配置は簡単に思い出すことができた。
「ありがと、」
彼は驚いたのか、少しびっくりした顔をして言った。
何故か彼は私を見て少しびっくりする事が多い。
「別に」
と、とっさに、さっきの恨みを継続している様な声が私の口からでる。
それでも彼は、紙を拾い終わると私に一回一回、
掲示板に紙を貼るピンを差し出してくれた。
「針、気をつけてね」
と、心底心配そうな顔をしながら。
私が紙を全て定置に張り付け終わると、彼はもう一回掲示板を見直した。
「この掲示板は誰の為の物なんだろうね」
しーんとした廊下に彼の声が響く。
「さっき、落ちた紙を読んでみたけど一見ただの新聞の切り抜きに見えるでしょ?だけどこれ全部、今起こった事じゃない。俺が生まれる後かもっと前、聞いた事もない話ばっかりなんだよ。
またひゅうと風が吹くと、また紙がバラバラと落ちる。
次々に落ちていく紙を拾う彼は何となく滑稽で可愛くて、見ながら私はクスッと笑ってしまった。
急いで近寄ると、彼が掻き集めた紙を、彼の手から抜き取った。
「貼るよ、場所覚えてるから」
と言うと掲示板に紙を貼っていく。毎日見ている紙の配置は簡単に思い出すことができた。
「ありがと、」
彼は驚いたのか、少しびっくりした顔をして言った。
何故か彼は私を見て少しびっくりする事が多い。
「別に」
と、とっさに、さっきの恨みを継続している様な声が私の口からでる。
それでも彼は、紙を拾い終わると私に一回一回、
掲示板に紙を貼るピンを差し出してくれた。
「針、気をつけてね」
と、心底心配そうな顔をしながら。
私が紙を全て定置に張り付け終わると、彼はもう一回掲示板を見直した。
「この掲示板は誰の為の物なんだろうね」
しーんとした廊下に彼の声が響く。
「さっき、落ちた紙を読んでみたけど一見ただの新聞の切り抜きに見えるでしょ?だけどこれ全部、今起こった事じゃない。俺が生まれる後かもっと前、聞いた事もない話ばっかりなんだよ。
