アルカナの抄 時の息吹
第8章 「世界」正位置
夢……。
…でも、なんだか…目を覚ます前に別の夢を見た気がする。緑の中に…。
男の、人。そう、銃を持った男の人が、どこかの茂みから何かを狙ってた。何か…誰か。
――あたし、だ。だけど、ダメだった。なぜか。黒い…――ぼやっとした…――龍。龍が、あたしと重なって見えたから。恐怖が引き金を引かせなかった。
…だからターゲットを変えた?彼に…?
それから…ああ、そうだ。次は、ぱっ、と画面が変わったんだ。今度は同じ男が、運ばれていく棺を離れたところから見ていた…。続いて、ゆっくりと視線を巡らせるが、やがてその場から立ち去る…。
また画面が切り変わって…今までみたいな第三者の視点ではなく、誰かの視界そのままを映像にしているような感じ。全体的に薄暗かった気がする。ええと、あれは確か…――
――壁…――どこかの部屋。城の中?なのにどうしてあんなに暗かったのかしら。夜?
…だめだ、思い出せない。
ふと見上げれば、黒の中に月がひっそりと浮かんでいる。その神秘的な輝きを、時々立ち止まって眺めては、ガロウを想った。
そうこう考えながら歩いてるうち、自宅につく。1Kのマンション。二階の一室が、今のあたしの住まい。いつか、転職してもっと給料が良くなったら、3LKに一人で住むんだ。そう思いながら、経験積んで、資格取るために今の職場で頑張ってる。
もう夜遅いから、そっと鍵を出して、扉を開けた。もちろん、閉めるときももう一方の手で押さえて気をつかいながら。
暗い。誰かが「おかえり」と迎えてくれることもない。パチ、と明かりをつけると、見慣れていたはずの雑多な生活用品が目に入った。
そのままベッドにダイブしたい気持ちを抑えて、入浴を済ませる。色々と考えてしまいそうな頭を、ふるふると振るい、半ば無理に眠り込んだ。
…でも、なんだか…目を覚ます前に別の夢を見た気がする。緑の中に…。
男の、人。そう、銃を持った男の人が、どこかの茂みから何かを狙ってた。何か…誰か。
――あたし、だ。だけど、ダメだった。なぜか。黒い…――ぼやっとした…――龍。龍が、あたしと重なって見えたから。恐怖が引き金を引かせなかった。
…だからターゲットを変えた?彼に…?
それから…ああ、そうだ。次は、ぱっ、と画面が変わったんだ。今度は同じ男が、運ばれていく棺を離れたところから見ていた…。続いて、ゆっくりと視線を巡らせるが、やがてその場から立ち去る…。
また画面が切り変わって…今までみたいな第三者の視点ではなく、誰かの視界そのままを映像にしているような感じ。全体的に薄暗かった気がする。ええと、あれは確か…――
――壁…――どこかの部屋。城の中?なのにどうしてあんなに暗かったのかしら。夜?
…だめだ、思い出せない。
ふと見上げれば、黒の中に月がひっそりと浮かんでいる。その神秘的な輝きを、時々立ち止まって眺めては、ガロウを想った。
そうこう考えながら歩いてるうち、自宅につく。1Kのマンション。二階の一室が、今のあたしの住まい。いつか、転職してもっと給料が良くなったら、3LKに一人で住むんだ。そう思いながら、経験積んで、資格取るために今の職場で頑張ってる。
もう夜遅いから、そっと鍵を出して、扉を開けた。もちろん、閉めるときももう一方の手で押さえて気をつかいながら。
暗い。誰かが「おかえり」と迎えてくれることもない。パチ、と明かりをつけると、見慣れていたはずの雑多な生活用品が目に入った。
そのままベッドにダイブしたい気持ちを抑えて、入浴を済ませる。色々と考えてしまいそうな頭を、ふるふると振るい、半ば無理に眠り込んだ。