アルカナの抄 時の息吹
第1章 「魔術師」正位置
「労働に支障が出ると言うなら…仕方ねえ。ハースにでも頼め」
やっとわずかに振り向き、王が言った。うまく説得できたようだ。
「ありがとうございます。王さま」
理解ある上司で助かるわ、と部屋を出た。
「フン…」
王は窓から目を離し、ベッドへ寝そべった。
「最高ね」
骨付きチキンを頬張りながら、もごもごと言った。
借りた部屋着に着替えたあと、お待ちかねの夕食タイムに入っていた。食事は意外にも、まるで客人をもてなすかのような豪勢ぶりで、食べきれないほどの料理がテーブル上に並べられていた。
「当たり前だ。なんたってヴェルテクスだからな。おまえ一人、いや1000人いたとしても余裕で養える。これくらいの食事つきでな!」
なぜか横に座っている王が、自慢気に言った。“監視”にきたのだという。
「いや~、料理人の腕も確かね。ヴェルテクス万歳だわ。さすが王さまの国ね」
白身魚をソテーしたものを口に運びながら、持ち上げる持ち上げる。
「そうだろ。“俺の”ヴェルテクスの偉大さがやっとわかったか」
気をよくした王が、ワインを持ってこさせた。
「…王さまぁ。あたしも一口」
ワインを楽しむ王に、自分の出せる最大級の猫なで声で言う。
やっとわずかに振り向き、王が言った。うまく説得できたようだ。
「ありがとうございます。王さま」
理解ある上司で助かるわ、と部屋を出た。
「フン…」
王は窓から目を離し、ベッドへ寝そべった。
「最高ね」
骨付きチキンを頬張りながら、もごもごと言った。
借りた部屋着に着替えたあと、お待ちかねの夕食タイムに入っていた。食事は意外にも、まるで客人をもてなすかのような豪勢ぶりで、食べきれないほどの料理がテーブル上に並べられていた。
「当たり前だ。なんたってヴェルテクスだからな。おまえ一人、いや1000人いたとしても余裕で養える。これくらいの食事つきでな!」
なぜか横に座っている王が、自慢気に言った。“監視”にきたのだという。
「いや~、料理人の腕も確かね。ヴェルテクス万歳だわ。さすが王さまの国ね」
白身魚をソテーしたものを口に運びながら、持ち上げる持ち上げる。
「そうだろ。“俺の”ヴェルテクスの偉大さがやっとわかったか」
気をよくした王が、ワインを持ってこさせた。
「…王さまぁ。あたしも一口」
ワインを楽しむ王に、自分の出せる最大級の猫なで声で言う。