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アルカナの抄 時の息吹

第8章 「世界」正位置

「何が言いたい?」

「おまえはそれを、見送るだけなのか?去っていくのを、ただ見ているだけなのか?それでいいのか?」
俺の心を見透かしたように、決心を見抜いたように。古き友人は言った。

「…仕方ないんだ」
俺はマキの手紙を取り出し、彼に見せた。

「マキがそう思うならそうなんだ。確かに俺は…マキがいると甘えてしまう。側にいる資格はないんだ。…少なくとも今の俺には」
手紙を読む彼に言った。それが、俺の出した結論だ。

「ならば、今のおまえのようじゃなければいいんだな?ではどんなおまえなら、彼女と共にいられるんだ?」

「…どちらにしても、俺はマキの居場所を知らない。待つしかないんだ」

「ただ待つだけか?本当にそれが望みか?最善なのか?」
彼の立て続けの問い。俺はいずれにも答えられない。

「…暫く一人になった方がよさそうだな」
よく考えろ、と続けて言い残し、彼はその場を離れた。

よく考えろ…。考え抜いた答えが、今だ。どこが間違っている?むしろ今までが間違っていたんじゃないのか。

手元の手紙に目を落とす。マキは、本当はどんな気持ちでこれを?

マキといたい…。そう俺が願うのは、押しつけになるんじゃないか。

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