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アルカナの抄 時の息吹

第3章 「運命の輪」逆位置

「なんでよ、あんたには関係ないじゃない。あたしの勝手でしょ」
あたしの言葉に、王の顔色が変わる。ふ、と肩の力を抜き、王は少し間を置いてから、そうだな、と言った。

「…確かに俺には関係ないな」
そして、お前にも関係ない。王は静かに背を向け、去っていく。

「あ……」
なんだろう。何か、取り返しのつかないことをしてしまったような…。王の後ろ姿が、ひどく心を揺るがした。心が痛い。落ち着かない。やるせない…。

だが、もう遅い。手遅れだ。どうすることもできないまま、あたしはただその背中を見送った。





そして日を跨ぎ、早朝。いつもならまだ眠っている時間だが、臣下の声に王は目を覚ます。

「陛下っ!!」

「…なんだ、騒々しい」
ぼーっとした頭で答える。

「お休みのところ申し訳ありません。ゲリラ砲撃を行っていたと見られる敵兵を、朝方捕らえました!!」
その言葉に、王は完全に覚醒した。あれからずっと探させていたのだが、やっと捕縛することができたようだ。俺の毛を奪ったヤツを。

「本当か」

「はい。水路脇に泊まっていた怪しげな小型の商船に乗り込んだところ、潜伏中の二名を見つけました。大砲も押収済みです。まだ怪しい者がいないか周辺を探しておりますが、二名については、いかがいたしましょう」

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