テキストサイズ

アルカナの抄 時の息吹

第3章 「運命の輪」逆位置

「地下の最奥へ連れていけ。吐くまで出すな」
地下の最奥の部屋とは、拷問部屋だった。すなわち、自分の身元や目的などを吐くまで拷問しろ、という意味だ。

「心得ました」
巡回兵はそう言い、その場を離れた。





それからあれよあれよという間に事は大きく進んだ。拷問部屋の二人が口を割るのは、思ったよりも早かった。彼らは、身元から目的、自分らを差し向けた者の正体まで、何もかも、洗いざらい話した。

敵ながら情けない奴らめ、と最初王は思ったが、それもそのはずだった。なぜなら、彼ら二人は兵士ではなかった。敵国に一時的に雇われた商人にすぎなかったのだ。

だが、砲撃手は別だった。かなり腕の立つ砲撃手で、その者はまだ逃げ延びているという。この二人は最初からあまり信用されていなかったのだろう。砲撃手の男は常に覆面をしており、顔は二人にもわからないらしい。

なるほど、つじつまはあっているな、と王は思った。念のため、砲撃手が捕まるまで地下牢に留め置くことを命じ、王は城へ戻った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ