アルカナの抄 時の息吹
第4章 「月」逆位置
なぜかはわからない。けれども、真実だと確信していた。王の苦しみの根が、少しわかった気がした。
あたしは起き上がると、用意されていたドレスに着替える。今日は、ヴェルテクスの勝利を祝しての屋外パーティーだ。顔を作り、少し早いが会場である庭へと向かう。
静かな庭は、準備中だった。王はまだいなかった。ハースを見つける。
「おはようございます。この度はおめでとうございます」
「おはよう。おまえもご苦労だったな」
「いえ。ありがとうございます」
着々と準備が進み、だんだん人も集まってくる。…と、皿や食事などを用意する者の中に、例の少女を見つけた。
…あら?
薄汚れたボロボロの服ではなく、給仕服のようなものを着ている。と、そこへ、誰かが声をかけた。それは金髪のあの青年だった。少女は顔を赤くしてあたふたとしている。
「…いいわねぇ。恋愛って」
恋せよ、少年少女たち!と心の中でエールを送りながら、あたしは自然と頬を緩ませて二人を見ていた。
皆、あんな風になれたらいいのに。純粋に、自由に、ただひたすら相手を想うことができたら。
…どんなに、幸せだろうか。
あたしは起き上がると、用意されていたドレスに着替える。今日は、ヴェルテクスの勝利を祝しての屋外パーティーだ。顔を作り、少し早いが会場である庭へと向かう。
静かな庭は、準備中だった。王はまだいなかった。ハースを見つける。
「おはようございます。この度はおめでとうございます」
「おはよう。おまえもご苦労だったな」
「いえ。ありがとうございます」
着々と準備が進み、だんだん人も集まってくる。…と、皿や食事などを用意する者の中に、例の少女を見つけた。
…あら?
薄汚れたボロボロの服ではなく、給仕服のようなものを着ている。と、そこへ、誰かが声をかけた。それは金髪のあの青年だった。少女は顔を赤くしてあたふたとしている。
「…いいわねぇ。恋愛って」
恋せよ、少年少女たち!と心の中でエールを送りながら、あたしは自然と頬を緩ませて二人を見ていた。
皆、あんな風になれたらいいのに。純粋に、自由に、ただひたすら相手を想うことができたら。
…どんなに、幸せだろうか。