
アルカナの抄 時の息吹
第1章 「魔術師」正位置
「そして俺は、このヴェルテクスの王だ!!」
高らかに言い放つが、言われた方はぽかんとしていた。
「ヴェルテクス王国?…聞いたことないわね」
名の知れた国っぽいこと言ってたけど…初耳だわ。
「なんだと…」
期待したようなリアクションではなく、男は愕然としていた。
「日本からどのくらい?」
「ニホンってなんだ?地名か?」
「国よ!ジャパンよ!!」
「知らんな、そんな国は」
男の言葉に、唖然とする。…どこの箱入り坊っちゃんよ。
「地球上に…大日本帝国を知らない人がいるなんて…」
口にして、はっとする。
ま、まさか…。地球って何だとか言わないわよね…?
「地球ってな」
「あああああ!!!」
先を聞きたくなくて、言葉を遮るように叫んだ。
「なんなのよ…ここが地球じゃないならどこなのよ…」
半泣きで呟くが、男は気にも止めず口を開く。
「おまえが誰かはもうどうでもいい。とにかく今すぐ出ていけ」
と、空気も読まず衛兵を呼んだ。
「ちょっと!あたしがこんなに困ってるのに、無視なの!」
それでも人間か、と涙目で睨み付ける。だが男は、気に留める様子はない。
「知るか。今すぐ城を出ていけ」
男は繰り返した。と、衛兵とともに初老の男が現れた。
「いかがされました、陛下」
扉の外に立ち、恭しくかしずいた。
「ハース。こいつをつまみ出せ」
あたしを指差す。ハースと呼ばれた男がジロリとこちらを見た。
「まっ待ちなさいよ!」
血も涙もない国王に、慌てて口をはさむ。
高らかに言い放つが、言われた方はぽかんとしていた。
「ヴェルテクス王国?…聞いたことないわね」
名の知れた国っぽいこと言ってたけど…初耳だわ。
「なんだと…」
期待したようなリアクションではなく、男は愕然としていた。
「日本からどのくらい?」
「ニホンってなんだ?地名か?」
「国よ!ジャパンよ!!」
「知らんな、そんな国は」
男の言葉に、唖然とする。…どこの箱入り坊っちゃんよ。
「地球上に…大日本帝国を知らない人がいるなんて…」
口にして、はっとする。
ま、まさか…。地球って何だとか言わないわよね…?
「地球ってな」
「あああああ!!!」
先を聞きたくなくて、言葉を遮るように叫んだ。
「なんなのよ…ここが地球じゃないならどこなのよ…」
半泣きで呟くが、男は気にも止めず口を開く。
「おまえが誰かはもうどうでもいい。とにかく今すぐ出ていけ」
と、空気も読まず衛兵を呼んだ。
「ちょっと!あたしがこんなに困ってるのに、無視なの!」
それでも人間か、と涙目で睨み付ける。だが男は、気に留める様子はない。
「知るか。今すぐ城を出ていけ」
男は繰り返した。と、衛兵とともに初老の男が現れた。
「いかがされました、陛下」
扉の外に立ち、恭しくかしずいた。
「ハース。こいつをつまみ出せ」
あたしを指差す。ハースと呼ばれた男がジロリとこちらを見た。
「まっ待ちなさいよ!」
血も涙もない国王に、慌てて口をはさむ。
