アルカナの抄 時の息吹
第1章 「魔術師」正位置
「あたしは、あたしの意思に関係なく勝手にここに連れてこられたのよ!この国のせいよ!あんたのせいよ!あたしが帰れるまで、あんたはあたしの身の安全を保障する義務があるわ!!」
自分でも無茶苦茶なことを言っているのはわかっていた。だが、こうでもしなければ、見ず知らずの土地に放り出されてしまう。
野宿なんて、絶対にイヤ!!…こんな知らない土地で。
「おまえな…」
言葉も出なかった。この女は図々しいを通り越して、もはや完全に開き直っている。こうも図太い神経をした女は見たことがない、とヴェルテクスの王はあきれ返っていた。経緯を知らないハースなんかは、なおさらだった。
「別にこの城じゃなくたって、安全に暮らせる場所と、お腹いっぱいの食事を用意してくれさえすればいいのよ、あたしは。それ以上は何も望まないわ。すぐに帰るんだから」
ここは強気でいかなきゃ、と腰に手を当て、精一杯強がった。
「…はあ、しょうがねえな。この城に住まわせてやる」
とうとう王が折れた。ハースは驚き、いさめようと口を開きかけるが、ただし、と王は続けた。
「ただで住まわせるわけにはいかねえ。働いてもらう」
「……は?」
こんなところでも労働!?
「城じゅうを掃除しろ。一日でとは言わない。時間を決めるから、毎日自分で配分を考えろ。すべて掃除し終えたら、ここを出ていけ」
王はそう言うと、手配するようハースに言いつけた。
自分でも無茶苦茶なことを言っているのはわかっていた。だが、こうでもしなければ、見ず知らずの土地に放り出されてしまう。
野宿なんて、絶対にイヤ!!…こんな知らない土地で。
「おまえな…」
言葉も出なかった。この女は図々しいを通り越して、もはや完全に開き直っている。こうも図太い神経をした女は見たことがない、とヴェルテクスの王はあきれ返っていた。経緯を知らないハースなんかは、なおさらだった。
「別にこの城じゃなくたって、安全に暮らせる場所と、お腹いっぱいの食事を用意してくれさえすればいいのよ、あたしは。それ以上は何も望まないわ。すぐに帰るんだから」
ここは強気でいかなきゃ、と腰に手を当て、精一杯強がった。
「…はあ、しょうがねえな。この城に住まわせてやる」
とうとう王が折れた。ハースは驚き、いさめようと口を開きかけるが、ただし、と王は続けた。
「ただで住まわせるわけにはいかねえ。働いてもらう」
「……は?」
こんなところでも労働!?
「城じゅうを掃除しろ。一日でとは言わない。時間を決めるから、毎日自分で配分を考えろ。すべて掃除し終えたら、ここを出ていけ」
王はそう言うと、手配するようハースに言いつけた。