アルカナの抄 時の息吹
第4章 「月」逆位置
「あいつは…国王に似てるんだ」
だからあの人は、俺ではなくあいつを選んだ。亡き国王の面影を追いかけ…俺を捨て、あいつを愛したんだ。
子としてではなく、異性として。恋人としてあいつを見ていた。そして、あいつもそれを受け止めた。
あいつも、あの人も。いったい何を考えてるんだ。許さない。許されない。
「くだらない。愛なんて不確かで移ろいやすくて、儚いものは。信じない。苦しいだけだ」
今まで溜め込んできたものを吐き出すように。
「大嫌いだ、女など」
王は、ほとんど息継ぎなしに、眉を寄せて言った。あたしは王の横に立ち、その苦しげな顔を見つめる。
「愛を――女を知らないのね」
王の頬に優しく触れると、ビクリとこちらを見た王にそのまま口づけた。見開かれた目がこちらを見つめている。
「なっ……」
少しだけ唇を離すと、王が口をパクパクさせた。
「教えてあげる」
王の顔を両手で包み込み、目を閉じてもう一度唇を重ねた。顔の角度を変えながらの長い口づけ。王の頬がみるみる染まっていく。
あたしはドレス姿のまま、王は薄手のシャツ一枚にスラックス。そのままベッドに倒れ込む。
「…気持ちいいでしょ?」
王の上に覆い被さりながら、ささやくように言う。王の顔とは目と鼻の先だ。
だからあの人は、俺ではなくあいつを選んだ。亡き国王の面影を追いかけ…俺を捨て、あいつを愛したんだ。
子としてではなく、異性として。恋人としてあいつを見ていた。そして、あいつもそれを受け止めた。
あいつも、あの人も。いったい何を考えてるんだ。許さない。許されない。
「くだらない。愛なんて不確かで移ろいやすくて、儚いものは。信じない。苦しいだけだ」
今まで溜め込んできたものを吐き出すように。
「大嫌いだ、女など」
王は、ほとんど息継ぎなしに、眉を寄せて言った。あたしは王の横に立ち、その苦しげな顔を見つめる。
「愛を――女を知らないのね」
王の頬に優しく触れると、ビクリとこちらを見た王にそのまま口づけた。見開かれた目がこちらを見つめている。
「なっ……」
少しだけ唇を離すと、王が口をパクパクさせた。
「教えてあげる」
王の顔を両手で包み込み、目を閉じてもう一度唇を重ねた。顔の角度を変えながらの長い口づけ。王の頬がみるみる染まっていく。
あたしはドレス姿のまま、王は薄手のシャツ一枚にスラックス。そのままベッドに倒れ込む。
「…気持ちいいでしょ?」
王の上に覆い被さりながら、ささやくように言う。王の顔とは目と鼻の先だ。