アルカナの抄 時の息吹
第1章 「魔術師」正位置
城内すべてを掃除し終えたら出ていく。つまり、それまでに帰る方法を見つけなければならない。
まあ、でも…。今はこの条件をのむしかない。
「わかったわよ。それでいいわ」
はあ、とため息をもらす。
「じゃあさっそく今からやれ。ハースに案内させる。部屋の用意にはしばらくかかる」
…それまでやれってことかい。
「はいはい。じゃあね、王さま」
手をひらひらさせながら部屋を出る。先ほど案内を任された男は、廊下でずっと自分を待っていたようだ。
「よろしくお願いします。ええと…」
「ウェン・ハース、陛下の叔父であり、側近だ。陛下からは厚い信頼を得ている」
フフフン、と鼻高々に言った。
あら美味しそうな名前。
「ウェハースさん。今からどこに向かうんですか?」
「変な呼び方をするでない!ハース様と呼べ、バカ者っ」
「…で、どこへ?」
もう一度尋ねると、ハースはコホンと咳払いした。
「道具もなくどうやって掃除する」
「ああ、道具を取りにいくのね」
納得して、ふと周りを見る。今歩いている廊下は、前にも後ろにもかなり先まで続き、この城がかなり広いことを物語っている。
「あ、こんにちはー」
前から歩いてきた侍女らしき女性に、挨拶する。侍女はにっこりと微笑み、会釈して歩いていった。
…なるほど、これは品があるわ。なんていうか…一つ一つの動作が優雅で…そう、上品。
なんて、ハースの後に続きながら考えていた。
まあ、でも…。今はこの条件をのむしかない。
「わかったわよ。それでいいわ」
はあ、とため息をもらす。
「じゃあさっそく今からやれ。ハースに案内させる。部屋の用意にはしばらくかかる」
…それまでやれってことかい。
「はいはい。じゃあね、王さま」
手をひらひらさせながら部屋を出る。先ほど案内を任された男は、廊下でずっと自分を待っていたようだ。
「よろしくお願いします。ええと…」
「ウェン・ハース、陛下の叔父であり、側近だ。陛下からは厚い信頼を得ている」
フフフン、と鼻高々に言った。
あら美味しそうな名前。
「ウェハースさん。今からどこに向かうんですか?」
「変な呼び方をするでない!ハース様と呼べ、バカ者っ」
「…で、どこへ?」
もう一度尋ねると、ハースはコホンと咳払いした。
「道具もなくどうやって掃除する」
「ああ、道具を取りにいくのね」
納得して、ふと周りを見る。今歩いている廊下は、前にも後ろにもかなり先まで続き、この城がかなり広いことを物語っている。
「あ、こんにちはー」
前から歩いてきた侍女らしき女性に、挨拶する。侍女はにっこりと微笑み、会釈して歩いていった。
…なるほど、これは品があるわ。なんていうか…一つ一つの動作が優雅で…そう、上品。
なんて、ハースの後に続きながら考えていた。