アルカナの抄 時の息吹
第7章 「審判」逆位置
気づけば王は、なぜか正座をしていた。させられていた。
扉を開けたところまで時を遡る。
静かだと思われた部屋。だが、マキはいた。傷一つないマキにほっと安堵するのもつかの間、わずかに怒りを宿した目が、王を貫いた。
「頭は冷えた?」
ベッドに腰かけていたマキが立ち上がり、言った。どう返していいものか。考えを巡らせていると、マキは腕組みをしながら詰め寄る。
「話す気になった?どうしてあんなことをしたのか」
「う……」
あまりの気迫に、そして傷つけた自覚と罪悪感があるがゆえに、おろおろと口ごもる。
「そんなところにいないで、とりあえずそこに座りなさい」
マキが床を指差してそう言うので、俺はそろそろと部屋に入って扉の前の床に座る。自然と正座をしていた。マキの顔を見るのが怖くて、顔をあげられずにいた。
「もう一度聞くわよ。どうして、あんなことをしたの?」
「うう…」
「理由があるなら言ってくれないと、わからないわよ」
「ううう…」
「それとも、終わりなの?あたしたち…」
マキの言葉に、顔を上げる。
「それは、嫌だ」
「じゃあ、答えてくれる?」
見下ろすマキの視線から逃れるように、再び顔をそらす。と、上からゆっくりと手が伸び、頬に触れた。
「ガロウ?」
そっと俺を上に向かせ、名を呼ぶ。俺はため息をつくと、観念したように口を開いた――。
扉を開けたところまで時を遡る。
静かだと思われた部屋。だが、マキはいた。傷一つないマキにほっと安堵するのもつかの間、わずかに怒りを宿した目が、王を貫いた。
「頭は冷えた?」
ベッドに腰かけていたマキが立ち上がり、言った。どう返していいものか。考えを巡らせていると、マキは腕組みをしながら詰め寄る。
「話す気になった?どうしてあんなことをしたのか」
「う……」
あまりの気迫に、そして傷つけた自覚と罪悪感があるがゆえに、おろおろと口ごもる。
「そんなところにいないで、とりあえずそこに座りなさい」
マキが床を指差してそう言うので、俺はそろそろと部屋に入って扉の前の床に座る。自然と正座をしていた。マキの顔を見るのが怖くて、顔をあげられずにいた。
「もう一度聞くわよ。どうして、あんなことをしたの?」
「うう…」
「理由があるなら言ってくれないと、わからないわよ」
「ううう…」
「それとも、終わりなの?あたしたち…」
マキの言葉に、顔を上げる。
「それは、嫌だ」
「じゃあ、答えてくれる?」
見下ろすマキの視線から逃れるように、再び顔をそらす。と、上からゆっくりと手が伸び、頬に触れた。
「ガロウ?」
そっと俺を上に向かせ、名を呼ぶ。俺はため息をつくと、観念したように口を開いた――。