アルカナの抄 時の息吹
第7章 「審判」逆位置
「…おまえの命が危ないからだ」
予想外の王の言葉に、あたしは目を見張る。
「どういうこと?」
あたしを強引に愛したことにどう繋がるのだろう。
あたしが尋ねると、王は話を始めた。始まりは、ほんの少しの胸騒ぎだった。それは次第に大きくなっていき、朝目を覚ませば、不安感に襲われる毎日。
昔から、王の直感はよく当たったという。だから今回も、どこか確信めいたものがあったのだと。
そして、あの日の前夜。王は、久しぶりに彼と話をする。彼とは、自分を“レクザム”と名乗った、あの青年だ。
それは、王にとっては大きな一歩だった。二人が公的な、また社交辞令的な会話を交わすことは、それまでにも多くあった。だが、その時は違ったのだ。
無礼を許してほしいと、青年が私的に王に会いに来た。重要な話があるのだと。そして彼は、母親に関して、話の口火を切る。三人の関係について触れるのは、それまで互いに避けてきた。…それぞれの居場所を、失いたくないがために。
だが、青年はあえて触れた。なぜなら、本当に話さなければならないことが、その先にあったからだ。
大妃との異常な関係を断ったあと、青年は何度か例の部屋へきていた。あの大妃が、このまま何もしないとも思えない。扉の外から、しばしば様子をうかがっていた。そして大妃が、“招かれざる誰か”を城の中に入れたことに気づく。
王の側を離れず、戦争についての知恵を貸すあたしを、目障りに思っているはずの者たち。狙うならあたしだろうと。だから、王はあたしを守るため、側を離れなかったのだ。
「守るために離れなかったのはわかったけど…」
無理矢理口づけて押し倒した理由が、今の話からは見つからない。
「う……。だからそれは…そうすればおまえを守れると思ったから…」
「??…意味がわからないわ。どうやってよ?」
「だから…その…」
王はごにょごにょと口の中で言う。
予想外の王の言葉に、あたしは目を見張る。
「どういうこと?」
あたしを強引に愛したことにどう繋がるのだろう。
あたしが尋ねると、王は話を始めた。始まりは、ほんの少しの胸騒ぎだった。それは次第に大きくなっていき、朝目を覚ませば、不安感に襲われる毎日。
昔から、王の直感はよく当たったという。だから今回も、どこか確信めいたものがあったのだと。
そして、あの日の前夜。王は、久しぶりに彼と話をする。彼とは、自分を“レクザム”と名乗った、あの青年だ。
それは、王にとっては大きな一歩だった。二人が公的な、また社交辞令的な会話を交わすことは、それまでにも多くあった。だが、その時は違ったのだ。
無礼を許してほしいと、青年が私的に王に会いに来た。重要な話があるのだと。そして彼は、母親に関して、話の口火を切る。三人の関係について触れるのは、それまで互いに避けてきた。…それぞれの居場所を、失いたくないがために。
だが、青年はあえて触れた。なぜなら、本当に話さなければならないことが、その先にあったからだ。
大妃との異常な関係を断ったあと、青年は何度か例の部屋へきていた。あの大妃が、このまま何もしないとも思えない。扉の外から、しばしば様子をうかがっていた。そして大妃が、“招かれざる誰か”を城の中に入れたことに気づく。
王の側を離れず、戦争についての知恵を貸すあたしを、目障りに思っているはずの者たち。狙うならあたしだろうと。だから、王はあたしを守るため、側を離れなかったのだ。
「守るために離れなかったのはわかったけど…」
無理矢理口づけて押し倒した理由が、今の話からは見つからない。
「う……。だからそれは…そうすればおまえを守れると思ったから…」
「??…意味がわからないわ。どうやってよ?」
「だから…その…」
王はごにょごにょと口の中で言う。