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アルカナの抄 時の息吹

第7章 「審判」逆位置

「あ…愛の力で」


あたしは、目が点になった。


「……え?」

アイノチカラ…?

「おまえと俺の 愛の力 があれば…どんな敵にも負けないと思ったんだ」
おずおずと、気まずそうに王は言う。

本気で…?

とうとう、あたしは吹き出した。

「あたしたちが絆を深めれば、ラブラブパワーで敵を撃退できるって思ったの?あっはっはっはっ!!」
ゲラゲラ笑うと、王は恥ずかしそうに頬を染めた。

「わ、笑うな。本当なんだぞ。本当にそういう言い伝えが昔から…」

王はムキになって話を始める。この地域には、太古から龍の噂があったとか。龍は、ほとんどその姿を人の目にさらすことはないが、いつも我々を見守り、守護している、と。口伝されていく伝説は、いつしか伝説ではなくなる。

龍の力を授かり、恩恵を受ける者が現れたのだ。初代国王の父は、その力を持っていた。生まれながらにではなく、結婚してしばらく経った頃、力の片鱗を見せ始めたのだという。やがてその妻も力の一部を持つようになり、夫を支えた。

仲の良い夫婦だったという。窮地のときほど互いに支え合い、愛を深め、二人の力はより増した。

このように、龍の力が発現した者と真に心通わせる者もまた、その恩恵を受ける。そしてその力は、発現者のために使われるのだ。

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