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アルカナの抄 時の息吹

第7章 「審判」逆位置

だが同じ血の流れる息子、初代国王には、力はなかった。その子にもなかった。

が、そのまた子――ガロウにはあった。いわゆる、先祖がえりだ。祖先と一つだけ違ったのは、王の力が先天的なものだったこと。それ以外すべて同じならば、王の心から愛する者にも何らかの力があるはずだ。

「つまりマキ、恐らく今後おまえにも龍の恩恵があるだろう。もしくはもう何か力が…?最近変わったことはなかったか?」

「そんなまさか」
否定しかけたところで、そういえばと思い出す。不思議な夢を見た。

「確かに、過去のあなたを夢で見たかも」
すごくリアルだった。ビデオをリプレイしたかのように。過去を見る力…みたいな感じかしら。

「ああ、そういえば言ってたな。…まあそういうわけだ」

「どういうわけ?」

「祖先がしたように、俺とマキの力を高めようと思ったんだ」

「で?」

「…以上だ」

「以上じゃないでしょ。何か言うことは?」

「……?」
少し考え込んだのち、特に何もないが、という目をあたしに向けた。

「“ごめんなさい”は?」
軽く息をつき、言う。王は、あ、といった表情の後、しゅんと肩をすくめた。

「…ごめんなさい」

「よろしい」
にこりと笑いかける。…許そう。方法は間違っていたけれど、王はあたしのためにやったのだ。

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