アルカナの抄 時の息吹
第7章 「審判」逆位置
「そう言えば、あなたの本当の名前。そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「ん?うん。そうだね…」
青年がくすくす笑う。そんな会話を、している時だった。
一瞬だった。彼の胸を、正確に――何かが貫く。彼は目を見開き、ぐら、と足元から崩れた。慌てて駆け寄り、支えた手には――べっとりとした、赤。
声にならない叫び。叫び声をあげるって…声を出すってどうやるんだっけ。息を、するって、どう…。
「っひ、…あ」
「うっ…、マキ。しっかり…」
青年は、ぜえぜえと息も絶え絶えに、あたしにそう言った。だんだんかかる体重が重くなっていって、あたしは支えきれず膝をつく。
「あなたこそしっかりしなさいよっ!!」
肺に残されていた空気を、一気に全部押し出す。と、やり方を思い出したかのように、はあはあと息をする。
「マ、キ…」
王を、よろしく頼む。彼はそう言った。それが最後だった。彼は目を閉じ――動かなくなった。
「そんな…」
嘘。嘘。
嘘よ。嘘。
まだ、名前…聞いてないじゃない。
「あああああああ」
大きな水の粒が、とめどなく目からこぼれた。なぜ彼は死ななければならなかったのか――やりきれない思いと共に。
「誰か…呼ばなくちゃ」
はっとして立ち上がると、城へ戻る。王か、ハースか…とにかく走った。
「ん?うん。そうだね…」
青年がくすくす笑う。そんな会話を、している時だった。
一瞬だった。彼の胸を、正確に――何かが貫く。彼は目を見開き、ぐら、と足元から崩れた。慌てて駆け寄り、支えた手には――べっとりとした、赤。
声にならない叫び。叫び声をあげるって…声を出すってどうやるんだっけ。息を、するって、どう…。
「っひ、…あ」
「うっ…、マキ。しっかり…」
青年は、ぜえぜえと息も絶え絶えに、あたしにそう言った。だんだんかかる体重が重くなっていって、あたしは支えきれず膝をつく。
「あなたこそしっかりしなさいよっ!!」
肺に残されていた空気を、一気に全部押し出す。と、やり方を思い出したかのように、はあはあと息をする。
「マ、キ…」
王を、よろしく頼む。彼はそう言った。それが最後だった。彼は目を閉じ――動かなくなった。
「そんな…」
嘘。嘘。
嘘よ。嘘。
まだ、名前…聞いてないじゃない。
「あああああああ」
大きな水の粒が、とめどなく目からこぼれた。なぜ彼は死ななければならなかったのか――やりきれない思いと共に。
「誰か…呼ばなくちゃ」
はっとして立ち上がると、城へ戻る。王か、ハースか…とにかく走った。