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アルカナの抄 時の息吹

第7章 「審判」逆位置

寝室で寝ていた王は、がばりと跳ね起きた。嫌な予感。脂汗を流しながら部屋を飛び出す。

直感の告げる方へ。王は階段をかけ降りた。階段の踊り場を曲がったとき、誰かとぶつかりそうになる。

「マキ…!」
マキの無事に胸を撫で下ろすが、どうも様子が違う。





周りが異変に気づくよりも先に、あたしは王と会えた。城には階段がいくつかあるが、幸いなことに、すれ違わずにすんだ。

ぬぐったばかりの目から、涙が次から次へと溢れた。もう一度拭い、あたしは説明するより先に、とにかく来てと王の手を引く。


王たちのもとへたどり着くと、王は言葉を失っていた。青年の口もとに手をかざし、苦しげに顔を歪めた。そんな王を見て、ああ、だめなんだ、とあたしも悟る。

「どうして彼が…」

「…わからない」
王は目を伏せる。

「もっと誰か呼んでくる」

「頼む」
青年の亡骸を見つめたまま、静かに言う王。事切れた彼を王に任せ、あたしはもう一度屋内へ入っていった。

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